Kiss×Kiss×Kiss



その姿を見つけてしまったら、もう我慢なんてできなかった。
「どうして」だとか「そんなわけない」だとか、正常に機能した思考の中で生まれた言葉は限りなく頭を巡ったけれど。
そんなもの。
全てかなぐり捨てることに少しの躊躇いも感じなかった。それほどに、恋しかった。愛しかった。

「ロックオン…!」
首に両腕を巻きつけて頭をグイと引き寄せ、深く口づける。
「ん…ッ」
彼からも強く抱き寄せられて、息と鼓動が急速に上がる。
「は…ぁ…、せつな…」
その上こんなふうに甘く呼ばれてしまえば。
「んんんっ!」
湧き上がる欲を押さえつけることなんて出来はしない。もっと、もっと。お互いの熱を奪い合うようなキスを繰り返す。
「ふぅ…ん…」
ちゅく、と音をさせて離れた唇は、またすぐにちゅ、ちゅ、と啄ばみ、それは次第に深いものに戻ってゆく。
「あ…、は、ふ…ロックオ…」
「ん…刹那…ごめんな…」
乱れる吐息の中で呟かれたその台詞に、刹那はびくりと身体を震わせて眼を見開いた。
「っ、謝るな…!」
「刹那…」
散々吸い合い、腫れぼったくなった唇では上手く言葉を紡げず、はぁはぁと苦しげに呼吸しながら刹那はきつく彼を見詰める。
四年前に命を落とした、彼を。
「だって…、寂しかっただろ…?」
切なげに言われて言葉に詰まる。寂しかった。そんなの決まっている。寂しかった、とてつもなく。
「ごめんな…。俺はもうお前の傍に…」
「っ!」
その続きが声になる前に、彼の唇を刹那はまたキスで塞いだ。
「んぅ…」
ひとしきり舌を絡ませたあと、下唇を舐めながら顔を離す。
「で、も…、来てくれた、だろう…?今夜は傍にいてくれるんだろう…?」
眼差しは懇願めいていたかもしれない、と思った。彼が一瞬だけ、辛そうな顔をしたから。けれど。すぐふわりと微笑んで鼻先にキスを落とす。
「もちろん。今日はお前の誕生日だからな」
「……ロックオン…」
ニールと呼ぶべきだろうか、という考えが一瞬頭をよぎったけれど結局、その名を口に出すことはできなかった。彼に向ってその名で呼んだ記憶が、互いの記憶にはないから。
傷は、見ないふりをしよう。
「刹那……」
わかっているから。
「お前、更に色っぽくなったな」
「……だろう?」
こうやって笑いあっていても。お互い痛いくらいにわかっているから。

「ロックオン」

これはたった一夜のユメだと。

「刹那」

わかっているから。

「「愛してる」」



今はただキスして。






お誕生日を祝うための小説のはずなのに痛いテイストなのは書いてるのが華夜だからです;
タイトルはマモのアルバムの曲を参考にしちゃいました。ひたすらキスしてれば良いよ!
華夜(09.4)




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