いのり──3


性描写ありですのでご注意ください。自己責任でお願いします。



どさり、と。
もつれ合うようにしてベッドへ倒れこみ、更に近くロックオンを感じて刹那は胸を震わせた。彼の体温と重みを、もう一度味わえるとは思っていなかった。
しかしそんな思いに浸る間もなく、ロックオンは刹那の唇に、頬に、耳に、首筋に、しきりにキスを落としてゆく。そのたびに体の奥に生まれる熱が、早くも刹那を焼き尽くしそうだった。
「刹那……」
「ん……」
甘く囁いて、ロックオンは唇に深く口付けた。温かな舌で口腔を蹂躙しながら、左手は上着を脱がし、右手は腰や脚を愛撫する。
ぴちゃぴちゃと水音をさせ、お互いの呼吸を奪い合うようなキス。それだけでも十分に刹那の身体は煽られているというのに、ロックオンの手は休みなく体中を辿って刹那を芯から溶かしてゆく。
「んッ……」
唇を重ねたまま、下着越しに股間に触れられて刹那の身体はびくり、と跳ね上がった。いつの間にかベルトは外されていて、ボトムも引き下されていた。ロックオンの手はごく軽い調子でやわやわとそこを撫でる。それだけなのに、刹那の中心はしっかりと反応していた。
もっとちゃんと触れて欲しいとばかりに自分からロックオンの手に腰を擦り付る。その無意識の動きに刹那が気づき赤面したとき、ロックオンの唇はちゅ、と濡れた音をさせてようやく離れた。
「刹那…」
湿った声で、低くロックオンが囁く。たっぷりと艶を含んだ視線をまともに受けてしまって刹那の鼓動はまた、うるさくなる。
「お前が、欲しいよ……」
「ロック、オン……」
「頭のてっぺんから…、足の先まで……」
言いながらロックオンは刹那の額にキスを落とす。片手は股間に当てられたままで、時々ぐ、と揉んでは力を緩めて撫でる。そんな意地の悪い触れ方をされて刹那はまんまと焦らされ、またもや腰がねだるように揺れた。
「この背中も…、この胸も…、全部……」
ロックオンのもう片方の手が、シャツの下からするりと中に入れられ、刹那の脇腹をなぞる。胸の辺りで手を止めて、小さな粒をきゅ、と摘んだ。
「……っ……!」
嬌声が零れそうになったのを、刹那は唇を噛むことで必死にこらえた。そのまま指先でクニクニと捏ね回され、たまらず背がしなる。
「なぁ、刹那…、全部欲しいんだ…」
だから、ちょうだい?
ロックオンの昂りがむき出しの太腿に押し付けられ、刹那は蕩けきった頭をこくん、と上下に動かした。
「あげる…、ぜんぶ、あげる、から……っ」
もっとめちゃめちゃにして。
そう口には出せなかったけれど、見上げる視線が口ほどにものを言ったようで、ロックオンはまた激しく唇を貪ると、すでに先走りの液でぐっしょり濡れてしまっていた刹那の下着を一気に引き摺り下ろした。
「刹那…、足…」
欲望に掠れた声で促されるままに刹那が足を持ち上げおそるおそる開くと、前を弄っていた手は素早く後ろに回りこんで孔の入り口を撫でた。
「ココ、柔らかくしてやるからな」
「ロックオン…!」
わざわざ言うな、ときつく睨み上げたが、ロックオンは余計嬉しそうに眼を眇めた。刹那の胸を弄んでいた方の手を、自分の口元へ持っていくと、一本一本ゆっくりと指を舐めて濡らしてゆく。白く長い指に赤い舌が絡むその動きがやたらと艶かしい上、彼の表情がまた色っぽくて、刹那は潤んだ瞳でロックオンに見惚れた。その熱いし視線に気付いたロックオンが、ニヤリ、と笑う。
「んなエロい眼で見んなよ…、止まらなくなっちまうだろ?」
「な、何言って…、あぁっ!」
反論しようとした瞬間に、濡れた指を突き立てられ、刹那は反射的に声を上げた。もう何度も彼を受け入れている孔は、すんなりと長い指を受け入れ飲み込むように蠢いた。
「…ぁぅ…んんッ…ぅ」
「早いな…、もう蕩けてる…。刹那…、気持ちイイ?声出して良いんだぜ?」
「や…、い…ぁっ」
ロックオンの器用な指に敏感な部分を掻き回されながら、刹那は必死に首を横に振った。それに合わせて黒髪がぱたぱたとシーツを叩く。声を上げるのは嫌だった。だって彼はこんなにも余裕なふうに微笑んでいるのに、と刹那は唇を噛む。自分だけが気持ちよくなってるみたいだ、とそう思って。不意に刹那はぐい、と身体を起こした。
「あっ…」
「刹那?」
身体を起こした勢いで、ロックオンの指を更に深くに迎え入れてしまい、刹那はその快感に震えながらロックオンの股間に手を伸ばした。
「刹那、何…んん…」
ボトムの上からロックオンの昂りを擦り上げると、彼はすぐに自分から刹那の手に熱いそこを押し付けてきた。
「そうだよな、俺も脱がなきゃな。刹那、脱がして…?もう、入れて欲しいんだろ?」
起き上がった刹那を膝の上に抱き上げるようにしながら、ロックオンが言う。たっぷり色気を含んだ台詞に、刹那の耳が染まった。
「違っ…」
「違うの…?俺はもう刹那ん中に入りたいんだけど…?」
「は…ぁっ…、ロックオ…」
指は依然中を弄り回していて、一番触れて欲しいところに届きそうで届かないもどかしさに刹那の腰がいやらしく揺れる。反対に、ロックオンの股間を探る手の動きはおぼつかなくなっていった。
「ほら、刹那…、これ脱がしてくれなきゃいつまでたってもこのままだぜ…?」
それとも、このまま焦らされてる方が良いの?と意地悪く言われて、刹那はきっ、とロックオンを睨み上げると、彼の下着を勢い良くつかんで毟り取った。ロックオンはその様子に低く笑い、ちゅく、と刹那の尻から指を引き抜いた。
「う…ぁっ」
そしてことさら艶っぽく刹那に囁く。
「じゃあ刹那…、来て…?」
「え…」
ロックオンの膝の上に向かい合って坐らされているため、刹那は自分から腰を上げなくては彼と繋がることはできない。これまでもこのような体勢でしたことはあったが、恥ずかしさは拭えなかった。
「大丈夫だって。支えてやるからさ…、な?」
優しく頭を撫でられて、刹那はこくりと頷いた。ロックオンの大きな両手が促すように腰を包み、刹那はそろそろとロックオンの上に身を沈めてゆく。
「っ〜〜〜!」
挿入してくる圧倒的な質量に、それでも刹那は強情に声を出すまいと耐える。
「ん…、せつな…」
けれども、ロックオンの漏らした声を聞くと、決意は脆くも崩れた。
「ひぁ…あぁ…、ロック…オ…、はいってくる…っ」
全身の力が抜けていくような感覚がしたのと同時に、刹那はロックオンの欲望を根元まで咥え込んだ。
「すげ…。こんな狭いのにとろっとろで…。刹那…っ」
ロックオンは両腕で刹那の背中を強く抱き、グル、と腰を回して内部をかき混ぜる。刹那の弱いところを知り尽くした彼の動きは常に的確で、快感に追い上げられた刹那の全身はビクビクはねた。
「あああっ!やっ、あっ、ロック…ロックオ…ンぁあっ!」
刹那も両腕をロックオンの背中にしがみつくように回した。ロックオンが下から突き上げるたび、刹那の唇から高く嬌声が上がり、接合部からはくちゅんくちゅんと水音がいやらしく響いた。
「はぁ…ぁあっ!んぁ…熱…い…、ロック…オン…!」
刹那もまた夢中で腰を振りたてる。と、中を擦られるのと同時に、前で震える刹那の性器が鍛え抜かれたロックオンの腹に擦り付けられていた。
「ああっ、あっ…あぁんっ!…ロックオ…もう、もうっ…!」
「せつな…イキそ…?俺も、もヤバい…、んっ…!」
ロックオンが低く呻いて、ひときわ深く抱きしめられたとき、刹那は身体の一番深いところで熱が弾けたのを感じ、自分もまた熱い白濁を迸らせた。
しばらく二人とも、はぁはぁと肩で息をしていたが、すぐどちらともなく唇を重ね、ちゅ、ちゅ、と軽いキスを数回交わして微笑みあう。
「刹那…、好きだよ…」
「ロックオン…」
こくん、と頷いて、刹那はロックオンの胸に顔を伏せた。わかっている、というようにロックオンがぽんぽん、と頭を撫でるのを嬉しくも苦しい思いで受けた。この人が、どうしようもなく好きだ。だけど。だからこそ。言っておかなければならないことがある。
「すまない…」
「刹那?」
「きちんと謝らなければならないと思っていた…。あのときは俺の命の処遇をお前に任せることで謝罪にしたつもりだった。しかし、それでは伝わらないものがあると思った…。だから…」
言葉で、謝罪を伝えなければならないと思ったのだ。受け取ってもらえるかどうかはわからなかったけれど。
「もう、良いんだ…。ちゃんとわかってる」
ロックオンは、刹那の頭を抱きしめて優しく言った。その言葉が、刹那の身体の隅々にまで温かく満ちてゆく。じわり、ゆっくり、色濃く。
ああ。このぬくもりだ。
刹那の胸が、受け止めきれないほどの歓びに震えた。
「なぁ、刹那」
刹那の頭を抱えたまま、ロックオンが言う。
「もう、祈るのはやめにしよう」
どういう意味なのかを捉えかねて、刹那が顔をあげると、優しい笑みを湛えた瞳が迎えた。
「俺たちは空にいるんだ。祈りに、応える役目がある。…そうだろ?」
刹那がこくん、と頷くとロックオンは、だから、と続けた。
「だから、俺達は祈るんじゃなくて直接伝えあおう。何を望んでるのか。何を願っているのか。ちゃんと俺が応える…、叶えるから」
一言ひとことが刹那の心に響き、頭の奥から瞳、腹や指先にまで染み渡った。そして刹那はしっかりと、頷く。
「そうする。…必ず、ロックオンに伝える」
強く放たれた刹那の言葉を聞いて、ロックオンはまた優しく微笑み、そして再び、どちらともなく唇を重ねあった。


あとがき。読みたい方のみ反転させてどうぞ。
…なんかもう…、ごめんなさい…(平伏)
いっぱいいっぱいでした。ロックオンの大人のエロさと刹那の未熟なエロさを出したい、とか高望みしてたんですが、それどころじゃなかった…!
えーと、そうじゃなくてですね…;
やたらと一期19話周辺を書いていた華夜ですが、これでこの辺はおしまいです。刹那は結局あのとききちんと謝罪してないんだよね、というのがずっと気になっていたので。殺しても良い、というところがあの子が示せる最大の謝罪だったんだとは思いますが。
あれがあったからこそ、二人はより一層愛し合えるようになったのは間違いないんだよね!というのが書きたかっただけなんですが;
お粗末さまでした…。
ありがとうございました!
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